睡眠の効果
睡眠の質の評価
睡眠の質の評価としては、起床後に自分の睡眠を振り返る主観的な評価方法と、自分以外の他人からの評価や脳波などを計測する客観的な評価方法があります。
客観的に評価した脳波などのデータが正常範囲であっても、本人自身の睡眠に対する満足度が低いなど、主観的評価と客観的評価が乖離する場合もあり、定量的に完璧な評価を求めることは難しいです。
また、夜間の睡眠と日中の覚醒は相互に影響しあっているため、熟睡感や寝心地、目覚め感などの睡眠の満足度のみを振り返った評価だけではなく、日中の生活の満足度や概日リズムの状態など、多面的な評価が必要です。
質の良い睡眠とは
・規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、
昼夜のメリハリがはっきりとしていること
・必要な睡眠時間がとれており、日中に眠気や居眠りすることがなく、
良好な心身の状態で過ごせること
・途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られること
・朝は気持ちよくすっきりと目覚めること
・目覚めてからスムーズに行動ができること
・寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入眠できること
・睡眠で熟眠感が得られること
・日中、過度の疲労感がなく満足度が得られること
質の良い睡眠の健康への効果
睡眠はからだとこころの回復を行う働きがあり、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣と同じように健康に深く関わりがあります。
質の良い睡眠をとると、生活のリズムが整いやすくなり、体内のホルモンのバランスも保たれやすくなるので、肥満や高血圧、耐糖能障害、循環器疾患、メタボリックシンドロームといった生活習慣病の予防につながります。
質の良い睡眠が得られると日中の状態が良くなり、活動的に過ごすことができ、日中の活動的な生活が良質な睡眠をもたらし、からだとこころを健康にするでしょう。
質の良い睡眠の実践方法
規則正しい生活
睡眠も生活習慣のひとつであり、質の良い睡眠を得るためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
夜更かしはなるべくひかえるようにするといいでしょう。
運動習慣を持つ
速歩や軽いランニングなどの運動習慣を持つことで体が疲れる為、寝つきがよくなり、深い睡眠が得られるでしょう。
運動は、寝る3時間くらい前の夕方から夜にかけて行うと、一時的に上がった脳の温度が寝床に入る時に下がってスムーズな睡眠が得られやすくなると言われています。
ただし、寝る直前の激しい運動は身体が興奮して眠れなくなるので避けた方がいいでしょう。
寝る2~3時間前の入浴
入浴は体温を一時的に上げるので運動と同じように寝つきを良くし、深い睡眠を得る効果があると言われています。
38度のぬるま湯では25~30分の入浴、42度の熱めのお湯では5分程度の入浴、または約40度のお湯で半身浴をするのがおすすめの入浴方法です。
体調や好みに合わせた入浴スタイルを選ぶといいでしょう。
朝、起床後に光を浴びる
朝、起きてすぐに太陽の光を浴びると、24時間よりも長い周期の体内時計のずれをリセットすることができます。
夜は家の照明の光でも浴びると体内時計が遅れてしまうといわれています。
夜の照明はひかえめにして、朝起きたらカーテンを開けて自然の光を浴びるといいでしょう。
食生活
朝食はしっかりとって、日中に活動するためのエネルギーを補給することが大事です。
寝る前に食事をとると消化活動で睡眠が妨げられるので控えて、規則正しい食生活を送るようにしたほうがいいです。
寝る前のカフェイン摂取や喫煙は覚醒作用があり、アルコール摂取は眠りが浅くなるのでひかえた方がいいでしょう。
よく眠れる寝具を選ぶ
深い眠りを保つために身体は発汗しているので、吸湿、放湿性がよく、保温性の良い寝具を選ぶといいでしょう。
敷布団やマットは適度に硬く、身体が沈み込みすぎないもの、掛布団は身体にフィットしやすく軽いものを選ぶことをおすすめします。
最後に
睡眠には「脳や身体の休養」「疲労回復」「免疫機能の増加」「記憶の固定」「感情整理」など多くの重要な役割がありますので、うまく睡眠不足を解消しながら、体内リズムをコントロールして、生き生きとした毎日を過ごせるように日々意識することが大事です。